映画監督に必要なものってなんだろう。
昔から映画が好きだった。
漠然とその映画を作っている『監督』という存在に憧れた。
すべての部署の長である、
映画のヴィジュアルイメージを司る『クリエイティブの神』そんなイメージだった。
でも、実はその仕事の本質はよく分からない。
『映画監督』って一体どんな仕事なのだろう…と思う。
どんなスキルを一番必要とするのだろう。
村上龍の著書『13歳のハローワーク』の中に、アメリカ映画の大巨匠、フランシス・F・コッポラとのエピソードが書かれている。
コッポラが『地獄の黙示録』を撮影していた頃、食事を共にした時の会話。抜粋。
「そのころ、わたしは26歳で作家としてデビューしたばかりで、映画を撮りたいと思っていた。でも映画の現場など知らなかったし、作り方も知らなかったし、助監督の経験もなかった。
パスタを食べ終わって、ワインを飲みながら、実はぼくも映画を作りたいと思っているんだけど、とわたしは恐る恐る聞いた。するとコッポラは顔を上げて、だったら作れば? と簡単に言った。そして続けて、映画監督っていうのは誰にでもできる仕事だ、世界一簡単な仕事だ、と言った。
『俳優には訓練がいるし、脚本家は哲学と文才が不可欠だし、カメラマンは経験があってカメラを扱えなくてはならないし、美術も才能が必要だし、プロデューサーには資金と人望と信頼が要るけど、監督は、何もできない人でもやれるんだよ』」
この文章の後の村上龍の言葉がとても好きなのだが、
それはまた後日、書こうと思う。
僕も2013年に、小さな自主映画を作った。いろんな人の協力で長編を作る事が出来た。
当時はスキルなんて、何も無かった(今も無いが…)。
映画は好きだったが、観る専門で、
作った事はほとんど無かった。
だけど、どうしても作りたくてチャレンジしてみた。
自分がしっかりと出来た監督とは全く思わない。
ダメダメな部分ばかりだったが。小さな映画だが、準備から撮影、仕上げまで携わる事が出来て
思った事、いろいろある。
一本やってみて思った『監督』という仕事の実像。
それは『クリエイティブの神』という事前のイメージとは大きく異なった。
何というか…まるで映画『七人の侍』の百姓のようだった。。